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2019/03/13

飲食事業を始めた経緯 5

Blogの内容がどんどん固い内容になってきてしまっていますが、農林水産省で働いていた経験をもう少し書きたいと思います。

 

 

農林水産省に入省してしばらくすると、通常の国家公務員の研修とは別に、農業の現場で一ヶ月間働く、農村派遣研修があります。

 

 

研修の行き先に関しては、地域や作物についての希望を出すことができます。

 

 

通常は、人事を担当している秘書課に希望を出して、県庁などを通じて派遣先の農家が決まるのですが、自分は有機農業に思い入れがあったために、知り合いの紹介によって自分で派遣先を決めて申請をしました。

 

 

自分の研修先の農家さんは、熊本県阿蘇村にある「ぽっこわぱ耕文舎」さんでした。ぽっこわぱは、フランス人の旦那さまと日本人の奥さまの夫婦と、もう一組の日本人夫婦によって共同経営されており、阿蘇のふもとで米や野菜を栽培して、市場を通さずに消費者に直接販売をされています。

 

 

しかも、ぽっこわぱの農法は、単なる有機農業ではなく、バイオダイナミック(=ビオディナミ)農法でした。

 

 

ビオディナミ農法は、ワインに詳しい方は知っているのですが、有機農業(無農薬・無化学肥料)であることは勿論のこと、月の満ち欠けや天体の位置による影響を計算したカレンダーに従って、種まきや収穫などを行います。

 

 

それだけではなく、雌牛の角に牛の排泄物を詰めて土の中に埋めて置いたものを雨水で希釈して、調合材として土地に散布するなど、現代農業とは全く異なる神秘的な農法です。

 

 

日本でこんな農法を説明したら笑われてしまいそうですが、ドイツのシュタイナー博士によって提唱されたもので、ヨーロッパの有機農家の多くに取り入れられています。ロマネ・コンティを筆頭にフランスの一流のワイン畑の大半もこのビオディナミ農法でぶどうを栽培しており、なぜかこの農法で栽培した作物は普通の有機作物と比べても美味しさが全然違うと言われています。

 

 

自分もこの研修の約10年後にワインのことを勉強するようになって初めてビオディナミ農法が凄いものだと知ったのですが、研修の当時は、そんなことを全く知らなかったので、とても驚いてしまいました。

 

 

夜には、フランス人の旦那さん(ビリーさん)によるシュタイナーについての勉強会などもあったのですが、当時は、かなり迷信的な内容だなと、内心思っていました。でも10人くらいの勉強会の中でそう感じていたのはおそらく自分だけだったので、空気を読んで、周りに合わせていた状況です。

 

 

後は、有機農業は、勿論、農薬や除草剤を使わないので、炎天下の中で、畑の草を手で刈ったり、たくさんの野菜を手で洗ったり、やっぱり大変な作業だなーというのを研修で実感しました。

 

 

自分は、この阿蘇での農業研修の他にも、群馬県嬬恋村のキャベツ農家で2ヶ月間住み込みで働いた経験もあります。キャベツの収穫は朝5時前から夜8時まで、途中休憩は勿論ありますが、ずっと腰をかがめてキャベツを刈り続け、重い段ボールを運ぶなど、逃げ出す人が多くいるほどのハードワークでした。

 

 

このように、農業の現場はとても大変でしたが、でも肉体労働をした後の食事、特に獲れたての野菜を使った料理は、やっぱり美味しかったです。


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